『予備自衛英雄補?!』は、設定だけを見るとかなりクセの強いドラマです。
「ヒーローが憲法上の理由で存在しない日本」
「嘘をつけない主人公」
「予備」「補」という正体の掴みにくい肩書き。
正直に言うと、僕自身も視聴前は
「これはコメディなのか?それともシリアスなのか?」
と判断がつかず、見るかどうか迷っていました。
ただ、実際に5話まで見てみると、この作品は単なる変わり種ドラマでも、分かりやすいヒーロー活劇でもなく、能力を持ってしまったがゆえに社会からこぼれ落ちた人々が、集団の中で居場所を探す群像劇として作られているように感じます。
この記事では、あらすじをなぞるのではなく、
- このドラマのトーンはどこにあるのか
- 何を描こうとしている作品なのか
- どんな人に向いているのか
という点を、5話まで視聴した立場から整理していきます。
作品の基本情報とジャンル感
- 主演:菊池風磨、のん、森永悠希 ほか
- ジャンル:特撮風ヒーロードラマ/群像劇
- 設定:憲法上の制約でヒーローが存在しない日本。極秘に集められた7人の能力者たち
- トーン:コメディ要素を含みつつも、孤独や社会不適合を丁寧に描く構成
「予備自衛英雄補」という造語や、老若男女が混在するチーム構成から、戦隊ヒーローもののパロディとして捉えることもできます。
しかし物語が進むにつれ、前面に出てくるのはヒーローとしての痛快さではなく、
能力を持ってしまったことで背負う苦しさや、他者と関われなくなった理由です。
世間で感じられる第一印象
放送後によく見かける感想としては、次のようなものがあります。
- 設定が独特すぎてついていけない
- 嘘をつけない主人公という縛りが面白い
- コメディなのかシリアスなのか分からない
- キャストの配役が意外で気になる
奇抜な設定やキャラクターの濃さで注目を集める一方、作品全体のトーンが掴みにくいという印象を持たれている人も多いように感じます。
タイトルに「?!」がついている時点で、作り手側も「何これ?」という戸惑いを含めて提示している作品なのかもしれません。
第5話まで見て分かった作品のトーン
5話まで通して感じるのは、このドラマが突き抜けたコメディにも、分かりやすい痛快路線にも寄っていないという点です。
毎話、能力を使った見せ場や分かりやすい事件は用意されていますが、その裏では、
- 能力を持ってしまったことで生じた孤独
- 救えなかった過去への後悔
- 他人との距離感が分からない不器用さ
といった感情が、静かに積み重ねられています。
主人公のナガレも、常に正しい判断を下す人物ではありません。
感情的になったり、仲間を突き放すような言動を取ることもあります。
視聴後にスッキリする爽快感より、少し考えさせられる余白が残る。
それが、この作品の基本的なトーンだと感じました。
物語の軸:この作品が投げかけている問い
能力は誰のためにあるのか
能力者たちは、その力によって救われるどころか、むしろ孤立してきた過去を持っています。
「特別であること」が、必ずしも幸せにつながらないという構造が繰り返し描かれています。
集団に属することの意味
予備自衛英雄補として集められた彼らは、当初はバラバラです。
しかし回を追うごとに、一人では抱えきれなかった重さを、複数人で分け合う過程が描かれていきます。
ヒーローとは何か
完璧でも万能でもない。
それでも何かをしようとする姿にこそ、この作品なりのヒーロー像があるように感じます。
主人公・登場人物の描かれ方が持つ意味
ナガレ(菊池風磨)
嘘をつけないという設定はギミックではなく、彼が社会で孤立してきた理由そのものです。
正直さが人を傷つけ、自分も傷ついてきた。その葛藤が物語の軸になっています。
サエ(のん)
人と距離を取ってきた理由が、能力と深く結びついています。
「人を傷つけてしまう能力」は、比喩的な意味でも機能しているように見えます。
ミズノ(戸次重幸)
能力を使うために罪を犯さなければならないという設定は、能力が祝福ではなく呪いであることを象徴しています。
多くを語らない姿勢が、その後ろめたさを際立たせています。
チュータ(森永悠希)、ユタニ(後藤剛範)
盗みや融合転生といった能力も、それぞれが長年向き合ってきた苦悩の延長線にあります。
特にユタニの「自分を見失う」描写は、能力が自己を脅かす存在であることを示しています。
なぜ単純なヒーロードラマで終わらないのか
このドラマが戦隊もののパロディで終わらない理由は、はっきりしています。
- 能力がもたらすのは力ではなく孤独
- 勝利や成功が明確に定義されない
- 毎回必ず成長するわけではない
問題を解決しても、「では次はどうするのか」という問いが残る構成が続きます。
その未完結さが、妙なリアリティを生んでいます。
向いている視聴者・向いていない視聴者
向いている人
- 設定の奇抜さを楽しめる
- 能力バトルより人物描写に興味がある
- 群像劇として物語を追いたい
- 余白のあるドラマが好き
向いていない人
- 分かりやすい勧善懲悪を求める
- スピーディな展開を重視する
- ヒーローとしての爽快感を第一に求める
- 造語や設定の多さに抵抗がある
今後どう評価されそうか
今後の評価は、このチームが最終的にどこへ向かうのかを示せるかどうかにかかっているように思えます。
能力者たちが社会とどう折り合いをつけるのか。
その着地点が描かれれば、孤立と集団を描いた物語として再評価される可能性もあります。
一方で、トーンやテーマが整理されないまま終われば、「面白い試みだったが、分かりにくかった」という評価に落ち着くかもしれません。
まとめ
『予備自衛英雄補?!』は、表面的には奇抜な設定のヒーロードラマですが、
実際には能力を持ってしまったことで孤立した人々が、集団の中で居場所を探す物語として描かれています。
爽快感や分かりやすさを求めると物足りなく感じるかもしれません。
しかし、不完全な人間たちの関係性や葛藤に目を向けられる人にとっては、静かに引っかかる作品です。
5話まで視聴した現時点では、評価が割れやすいのも納得ですが、「派手さより余白」を楽しめる人なら、続けて見る価値は十分にあるドラマではないでしょうか。

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