『終のひと』は面白い?「葬儀屋ドラマ」に収まらない理由を第5話まで考察

ドラマ考察

「余命わずかの葬儀屋が主人公」
「深夜枠の30分ドラマ」
「テーマは葬儀」

こうした情報だけを見ると、しみじみとした感動系ドラマ、あるいは静かな職業ものという印象を持つ人も多いのではないでしょうか。

実際、私自身も第1話を見るまでは「落ち着いたヒューマンドラマだろう」という予想をしていました。

しかし、第5話まで視聴した今、その印象は少し変わっています。『終のひと』は単なる「葬儀屋ドラマ」ではなく、もっと広いテーマを内包した作品のように感じられるのです。

この記事では、「面白いのか?」「どんなドラマなのか?」と気になっている方に向けて、第5話までの内容をもとに作品の本質を整理していきます。

『終のひと』の基本情報とジャンル感

『終のひと』は、清水俊の同名漫画(双葉社・全5巻)を原作とする深夜ドラマです。1話約30分の一話完結型で、「ドラマストリーム」枠で放送されています。

主演は柿澤勇人。

銀髪ジャージ姿のベテラン葬儀屋・嗣江宗助を演じています。
共演の西山潤が演じる新人・梵孝太郎との師弟関係が物語の軸です。

ジャンルは「ヒューマン・エンターテインメント」とされていますが、実際には

  • 職業ドラマ
  • 社会派要素
  • 人間関係ドラマ
  • 死生観を扱うテーマ性

が同時に存在しています。

この「ジャンルの幅」が、本作の特徴のひとつです。

第5話まで見て感じた作品のトーン

第5話までを通して強く感じるのは、「死」を扱いながらも感傷に寄りすぎない姿勢です。

DIY葬でのトラブル、孤独死、ラブドールとの別れ、幼い少女の突然の死。扱っている題材は決して軽くありません。

しかし、物語は涙を強制する方向には進みません。嗣江と梵の軽妙なやり取りが挟まれ、場面は常にどこか冷静です。

特に印象に残ったのは第2話。嗣江があえて引き下がる選択をする場面です。

「正しい葬儀」を押しつけるのではなく、遺族が気づくまで待つ。その姿勢に、このドラマのスタンスが象徴されているように感じました。

観終わった直後に大きなカタルシスがあるわけではありません。けれど、時間が経つとじわじわと考えさせられる。

それが本作のトーンだと思います。

『終のひと』が投げかける問い

各話を通して浮かび上がるのは、「葬儀は誰のためのものか」という問いです。

故人のためなのか。
遺族のためなのか。
それとも生きている人間が区切りをつけるためなのか。

第3話では、生活保護を受ける息子と孤独死した父の関係が描かれました。正解のない状況の中で、葬儀という儀式がどう機能するのかが問われます。

しかしこのドラマは、明確な答えを提示しません。むしろ「弔いに正解はない」という事実そのものを描いているように見えます。

さらに重要なのが、嗣江自身が余命を抱えているという設定です。

人を送る仕事をしている人間が、やがて送られる側になる。この二重構造が、物語全体に静かな緊張感を与えています。

なぜ単純なお仕事ドラマで終わらないのか

通常の職業ドラマであれば、

問題発生

主人公が解決

感謝されて終わり

という構造が一般的です。

しかし『終のひと』では、問題が完全に解決することはほとんどありません。

葬儀が終わっても、遺族の人生は続きます。関係の溝も、社会的問題も、すべてが消えるわけではない。

この「余白」が物語をリアルにしています。

また、「命は大切だ」という教訓に収束しない点も特徴的です。家族関係の複雑さや経済的事情など、現実的な要素を淡々と描いています。

だからこそ、安易な感動ドラマとは違う印象を受けるのかもしれません。

『終のひと』は面白い?向いている人・向いていない人

第5話まで視聴した時点での印象ですが、本作は「静かな面白さ」を持つ作品です。

向いている人

・派手さよりテーマ性を重視する
・職業ドラマのリアリティが好き
・死生観を扱う作品に関心がある
・30分で完結する物語を楽しみたい

向いていないかもしれない人

・毎話スカッとする解決を求める
・大きな事件や展開を重視する
・明るくテンポの速いドラマが好き

良し悪しではなく、相性の問題だと感じます。

今後の評価はどうなりそうか

深夜枠の30分ドラマという性質上、大きな話題作になるタイプではないかもしれません。

ただ、配信での視聴が一般化している現在、後から評価が高まる可能性もあります。

嗣江の父・宗玄の登場が示唆されており、主人公自身の過去や内面が描かれれば、物語の縦軸はさらに深まるでしょう。

最終的にこのドラマがどこに着地するのか。それによって評価は大きく変わるかもしれません。

まとめ:『終のひと』は「考えさせる」ドラマ

『終のひと』は、葬儀屋という職業を通して死を描きながらも、感傷に寄りかからない作品です。

派手さはありません。けれど、視聴後に静かに残る余韻があります。

「面白いか?」と問われれば、刺激的な意味での面白さではなく、じわじわと染み込むタイプの作品だと答えたくなります。

人を送る人間が、自分の終わりとどう向き合うのか。その行方を最後まで見届けたいと思わせるドラマです。

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